ESXi上で動作させているWindows仮想マシンのレスポンスを向上させるべく、オンボードのIntel UHD Graphics*1をGPUパススルーさせたり涙ぐましい(無駄な)努力を重ねてきましたが、設置場所を抑えたいがために超小型PCをサーバー替わりに利用している以上はどうしようもないのでオンボードGPUのパススルーで満足していました。
ただ、何気なくAmazon.co.jpを物色しているとM.2をPCIe x1に変換するパーツを見かけました。
M.2 2230のType A/Eに対応とのことですが、幸か不幸か私のDeskMini 310では本来Wi-Fiカードを差し込むM.2 2230が余っているため、少なくともこの部品を買えばPCIe x1スロット(ソケット)を1つ確保することができそうです。
PCIe x1スロットが1つ確保できるならば10GBASE-TのNICが挿せたり、(PCIe x1対応の)グラフィックカードを搭載して本来あるべき姿の(!?)GPUパススルーが実現出来たり夢が広がりそうです。
現状、オンボードをGPUパススルーさせてしまっている都合でオンソール出力が行えない状況なので、何らかのグラフィックカードを搭載する方向で楽しめないかを検討しています。
PCIe x1で映像出力できるのか
グラフィックカードの多くはPCIe x16スロットに挿入することを大前提として作られています。PCIe x16スロットは物理的に長いスロットとなっています。一方PCIe x1スロットは物理的に短いスロットとなっています。
そのため、PCIe x1のカードをPCIe x16のスロットに差し込むことは可能ですが(大は小を兼ねる)、逆にPCIe x16のカードをPCIe x1のスロットに差し込むことは「通常は」不可能です。
但し抜け道があり、PCIe x1スロットに加工(エッジフリー)が行われている場合は干渉せずにPCIe x16のカードを差し込むことが可能です。また、PCIe x16側のカードを削って物理的にPCIe x1に挿せるよう加工することも可能です。・・・えぇ、後者の方(ボード加工)は一度やったことがありましてね・・・。*2
sylvester.hatenadiary.jp
話を戻して、PCIe x1で映像出力が可能かどうかについては、結論としては可能です。
但し、グラフィックボード側がPCIe x1に対応している前提があります。最近の多くのカードはスロット自体はPCIe x16前提ですが、PCIe x1スロットに挿入して動作することが多いようです。もし不安ならばPCIe x1前提で作られたグラフィックボードを調達するのがベストかと思います。*3
なおPCIe x1経由でグラフィックカードを接続した場合、ものによっては1割減の性能となってしまうため、性能を求める場合はグラフィックカードをPCIe x1に挿すのは止めましょう。
akiba-pc.watch.impress.co.jp
電力供給の問題
グラフィックボードの搭載を検討する場合、GPUの消費電力についてある程度意識する必要があります。
せっかく無茶な構成でグラフィックボードを搭載するのならば、なるべく高性能なグラフィックボードを搭載したいところ・・・ではありますが、そう話はうまくいきません。
M.2から変換して出力する場合、できればPCIeから供給可能な範囲で動作させたいところです。
雑にWikipediaのPCI Express(PCIe)のページから電源周りの情報をチェックすると、PCIe x1スロットは最大でも25Wしか電源を供給することができないようです。
ja.wikipedia.org
また、PCIe x16スロットでもグラフィックボード搭載時に75Wまでとされているため、追加の電源を使わない場合は思った以上に制約が厳しく圧し掛かってきます。
上記のパーツはPCIe x1スロットへの変換なので、本格的にグラフィックボードを搭載するのならば電源周りの問題から追加でPCIe x16への変換アダプタを挟まないとダメなのかもしれません。
幸いなことに、少し前のマイニング需要からPCIe x1をPCIe x16に変換するアダプタもAmazon.co.jpでは大量に存在するようなので、変換自体には不自由しなさそうです。
ただし、今度はどうやって電源を供給するかが問題になってきます。
上記の変換アダプタの場合、グラフィックボードの追加電源でよく見かける6Pinの電源ポート・主にIDE時代によく使われたペリフェラル4Pinの電源・あと6Pinからの変換でSATAの電源ポートの4つがあります。
デスクトップPCを利用している場合はATX電源からケーブルが伸びてたりするので不自由しませんが、今回はDeskMini 310(小型ベアボーンPC)のM.2を変換してPCIe x1にして、そこから電源供給都合でさらにPCIe x16に変換することを想定しているので、どうにかグラフィックボード追加電源のポートを外部電源・・・と言うかACアダプタなどから供給する必要があります。
雑に調べるとペリフェラル4PinまたはSATA電源ポートは、3.5型HDDを裸で接続させるためのキットで電源を見かけることがあるので、それらのキットに付属の電源を使うことで何とかなりそうです。
調べる限り、以下のキットに付属している電源アダプタが仕様変更で12V/3Aと少し強めの電源に更新されているとのことなので、少なくとも36WまではPCIe経由で電源を供給できそうです。*4
http://groovy.ne.jp/products/hddset/ud_301s.htmlgroovy.ne.jp
・・・ここまで考えて、やーっと本題です。電源の都合上最大で36Wのグラフィックボードしか搭載できないため、最大消費電力が36W以下のグラフィックボードがどんなものがあるのかを考えなければなりません。
インターネット上を調べると、グラフィックボードの性能比較の中でTDPが明記されているサイトもあるため、そのサイトからTDPが低い順にソートしてなんとなく新しめのモデルをチェックしてみると・・・、・・・意外と36W以下のグラフィックボードと言うのは選択肢が少ないようです。
pcfreebook.com
一番TDPが低いのは参考サイト上はGeForce GT 710/Radeon R5 230/Radeon HD 5450の3種類(TDP19W)ですが、いずれも「いつの時代の製品だよ!」・・・と言うのが正直なところの感想です。いえ、GeForce GT 710は秋葉原で見かけなくはない製品なのでローエンド製品としては現役世代なのかもしれませんが、ベンチマークの数値を見るとDeskMini 310のCore i7-8700T内蔵グラフィックであるIntel UHD Graphics 630よりも劣る性能です・・・。*5
その後、GeForce GTシリーズが続きますが710よりも古い型番なので入手性に難ありですし、性能面でも現状以下となるのが容易に想定可能です・・・。
その次が(TDP30Wの)GeForce GT 1030/Radeon R7 240の2種類が出てきますが、Radeon R7 240は入手性の問題から除外するとGeForce GT 1030のみになります。
GeForce GT 1030はローエンドグレードの中では比較的新しい製品ではありますが、それでも2017年登場と5年も前の骨董商品です。
pc.watch.impress.co.jp
しかしGeForce GT 1030はIntel UHD Graphics 630よりは高性能のようなので、今回雑に「Deskmini 310に無茶して搭載してみてぇwww」な用途には都合が良さそうです。*6
さらに、雑に調べた玄人志向のGeForce GT 1030搭載ボードの仕様を確認すると、スロット長はPCIe x16ですが、内部的にはPCIe x4接続とされています。
多少パフォーマンスの低下が心配されますが、PCIe x16前提のボードをPCIe x1スロットに挿すよりはパフォーマンスの低下具合が少なくなりそうなので、今回のイレギュラーな用途としては本当に都合の良い限りです。
www.kuroutoshikou.com
ただ、ここ数年続いているマイニング特需によるGPU価格高騰の煽りを受けて最ローエンドのグラフィックボードでも1万円オーバーの金額が相場のようです。・・・過去ボード加工した時に買ったグラフィックボードは5,000円もせずに買えた気がしますので、心象的には非常に高価な買い物となってしまうのでなんだかイヤな気分になります・・・。
机上はOKだが・・・
アレコレと机上で確認する限りは大丈夫そうです。
DeskMini 310から配線を引き出す場合も、M.2 to PCIe x1がフレキケーブル(薄っぺらいケーブル)なので隙間からゴリ押しで引き出せそうです。PCIeの電源供給面もPCIe x16へ変換を噛ませることで目途が立っています。
ただ、このままだとグラフィックボードを裸の状態でその辺に放り出す形となるので、どうにかしたいところです。グラフィックボードを裸で放置も問題ですが、配線周りが非常にゴチャゴチャとしてしまうので、収納ケースをどうするかは重要な問題となりそうです・・・。
マイニング目的でグラフィックボードを裸の状態で放置する形のケースのような何かは大量に販売されているように見受けられますが、1スロット仕様のグラフィックボードを収める都合の良いケースは存在しません、
そうなると、採寸して収まるケースを買ってきて自分で穴開けして・・・と少々面倒臭い作業が必要となりそうなのでチョット困ったものです・・・。
たぶん適当なケースは秋葉原のラジオデパートに行けば汎用のケースが転がっていると思いますが、金属製だと加工に一苦労しそうです。プラケースなら加工は楽だと思いますが、根本的な問題としてドリルなどは手元にないので工具を買うところから準備が必要となるので、ちゃんとした環境を整えようとすると思った以上にお金がかかりそうな予感がします。
まぁ、大きさを犠牲に普通のデスクトップPCでESXi環境を構築していれば不要の必要のない苦労なので、金額的に酷いことにならない程度に楽しんでいこうと思います。あと、このお戯れに関しては色々と諦める勇気も・・・。*7
*1:正確にはCPU内蔵のグラフィック機能なので、「オンボード」と表現するのは間違いなんですが・・・。
*2:HPが激安で本物のサーバー(確か当時1万前後でHP ProLiant ML110 G5)を販売していた頃に私も入手してPT2専用機で遊んでいましたが、オンボードがVRAM 8MBと当時としてもかなり厳しいサイズで、本当にサーバー専用機と言ったところです・・・。
*3:かなりニッチな需要向けなので割高+決してハイスペックボードでは無いので、その点は注意しておく必要があります。
*4:これ以上の電源が無いか探していましたが、ペリフェラル4PinやSATA電源で12V/3A以上のACアダプタは見つけられず。セカイモン経由のebayで辛うじていくつかあるものの、入手性は悪そうです。
*6:ちなみに余らせている我が家唯一のWindows11マシンであるNUC8i3BEH搭載のIntel Iris Plus Graphics 655とは(GT 1030は)同性能らしいので、案外最近のオンボード性能は馬鹿に出来ない・・・。
*7:多分妄想・空想で留めるのが大正解、なんだかんだでNUC8i3BEHを使い始めたので私がGPUパススルーで無茶する必要が無くなったと言うのも正直なところです・・・。