Re:シルの日々の戯言。

散財が生き甲斐になりかけている、デジタルガジェット大好き自称黄色いネズミの戯言。

Galaxy Note 10+(SM-N975F/DS)にLineage OS 20を焼いてみた

それなりの状態でそれなりの価格だったSamsung Galaxy Note 10+にLineage OS 20を焼きました。

Pixelシリーズと異なりfastbootコマンドを使わずにリカバリを焼き込む必要があり少々戸惑う部分はありましたが、とりあえずLineage OS 20に入れ替えてソフトウェア的に延命させることに成功しました。

過去ROM書き換えを行ってきたPixelシリーズのようにFactory Image(メーカー出荷時のROMイメージ)*1が公開されていないため、元の状態に戻すことは恐らくできないので(Galaxy Note 10+に)飽きたとしても元のイメージに戻して売却・現金化ができない点に注意が必要ですが、ザックリと手順などなどをメモ程度に記録を残します。

大前提条件

Pixelシリーズなどでは意識する必要のない部分ですが、Galaxy Note 10+・・・と言うか、Pixelシリーズ以外では特に注意を払う必要のある部分です。

Lineage OSに書き換え可能なモデルが限定されているため、必ず対応機種であることを確認してください。
Galaxy Note 10+の場合は、Lineage OSの機種別Wikiに記載がありますが、以下の2機種に限定されます。

SM-N975F
SM-N975F/DS

https://wiki.lineageos.org/devices/d2s/

Lineage OSへの書き換え可否はなんなのかと言うと、どうやらSamsung独自SoCのExynos搭載機種のみLineage OSに書き換え可能なようで、広く利用されているQualcomm Snapdragon搭載機種はLineage OS書き換えが(草稿を作成している2024年2月中旬時点では)行えません。
この点を考えず適当にGalaxy Note 10+を購入してしまうと、下手すれば文鎮化不可避なのでモデルナンバーまで確認した上でROM書き換えを考えるよう注意してください。

事前準備事項

過去に何度かROM書き換えは行ないましたが、Galaxy Note 10+の場合はそこはかとなく準備事項が必要です。
単にスマホ本体と(adbコマンドやfastbootコマンドなどの)SDK Platform-Toolsがあれば十分と言うわけではないので、必要なものを羅列しておきます。

  • SDK Platform-Tools
    • ROM書き換え時に必須のadbコマンドなどが含まれたツール一式、これはROM書き換えを行う場合は絶対必須になります。
  • Heimdall
    • Pixelシリーズなどで(ROM書き換えを行う場合に)利用するfastboot相当、Galaxyシリーズの場合はこれを利用します。
    • リンク先はLineage OSナレッジから案内されたURLですが、知見が無いだけと言うのもありますが、出所怪しいツール*2なので「何か」があっても言いように1回ポッキリの使い潰し環境を推奨します。
  • (Windowsユーザーのみ)OEM USB Driver
    • WindowsユーザーのみOEM USB Driverが必要になりますが、どうもZadigと言うツールを利用しての導入が必要のようです。
    • 私の知見が無いだけと言うのもありますが、こちらも出所怪しいツールなので「何か」があっても言いように1回ポッキリの使い潰し環境を推奨します。

見慣れぬツールを思考停止で「出所怪しいツール」と称していますが、ナンカヨクワカランモノを利用するので、1回ポッキリ使い捨てのROM書き込み環境を準備するのをお勧めします。
私の場合は余っているミニPCにUbuntu 22.04 LTSをインストールして、その環境でROM書き換えを実施しました。最近は3万も出せば新品で適当なPCが手に入るため、もしAndroidカスタムROMで遊ぼうとされている人は、安価な適当なPCを調達するのが良いでしょう。カスタムROMイジろうってくらいの人ならば、適当にLinux入れられて操作できるだけのスキルはあるでしょうし、ジャンクに近いWindows11非対応世代のPCを安く買ってLinux入れるなんて簡単にできるでしょうし・・・。

Lineage OSの準備

ツール類を準備した前提で、Lineage OS書き込みに必要なファイル群を準備します。
必要なファイルは機種別のダウンロードページから入手しますが、Galaxy Note 10+の場合は以下2ファイルが必要です。
download.lineageos.org

  • lineage-20.0-YYYYMMDD-nightly-d2s-signed.zip
  • recovery.img

また、Lineage OSはGoogle PlayなどのGoogleコンポーネントが含まれていないため、別途Googleコンポーネントを導入する必要があります。
以下のサイトから今回導入するLineage OS 20向けのコンポーネント(MindTheGapps)をダウンロードします。Galaxy Note 10+のSoCはARM64のため、Lineage OS 20項目にあるARM64のMindTheGapps(MindTheGapps-13.0.0-arm64-YYYYMMDD_hhmmss.zip
)をダウンロードしてください。
wiki.lineageos.org

基本的な流れはLineage OS Wikiの機種別ドキュメント

Linege OSの場合はドキュメントが揃っているため、基本的にはLineage OS Wikiの機種別インストールガイドを参照して対応します。
wiki.lineageos.org

英語と言えど必要なドキュメントは全て揃っているため、必要に応じて掻い摘んでブログ記事として残します。

Galaxy Note 10+側の準備事項

ROM書き換えを行う前にいくつか準備事項があります。

  • 事前に(標準ROMを)Android 12にバージョンアップしておくこと。
    • Galaxy Note 10+に限りませんが、特定のバージョンにアップグレード・場合によってはダウングレードしておくよう指示されている場合があるため、ドキュメント指定のバージョンに設定します。
  • 開発者向けオプションを有効化し、OEMロック解除のチェックを付ける。
    • お馴染み操作ですが、事前にWi-Fiへ接続しておく必要があるため、Wi-Fi接続せずに「OEMロック解除出てこねーぞ!」と発狂しないようご注意ください(1敗)
    • 設定のデバイス情報→ビルド番号を連打して、開発者向けオプションを有効化
    • 設定のシステム→開発者向けオプション→OEMロック解除を有効化する。

bootloader unlock

Galaxy Note 10+の場合、bootloader unlockのお作法は他機種と異なります。

  1. (準備作業を済ませた上で)電源をOFFにする。
  2. 音量UP/音量Downボタンを同時に押しながら(PCと繋がる)USBケーブルを挿入する。
  3. 英語・朝鮮語・中国語で警告画面が表示されるため、音量UPボタンを長押しする。
  4. 画面の指示に従ってbootloader unlockを実施する。

メーカーがメーカーなので変な言語も表示されていますが、一応英語表記があるので迷うことは無いと思います。
ただ、他の機種だとfastbootコマンドを叩くところですが、コマンドプロンプト・端末画面を開かずにbootloader unlockができるのは他のメーカーにも広まってほしいと思ったところです。*3

なおbootloader unlockするとデータ消去が入るため、ROM書き換え行おうって状況なので消えても問題ないとは思いますが、念の為データが消えても大丈夫か確認の上で実施してください。

Heimdallでリカバリ領域書き換え

従来はfastbootコマンドで操作する部分ですが、Galaxy Note 10+(と言うかSamsungスマホ)の場合は特殊ツールを利用する必要があるとのこと。どうやらダウンロードモードと言う状態に移行してリカバリ領域の書き換えが必要なようです。
なお、ここから後戻りはできません。Samsungツールで純正ファームに戻せるようなメッセージがスマホには表示されますが、Pixelシリーズのように純正ROMデータが公開されている訳では無いので、飽きたら売却して現金化でも・・・と考えているのならば、(bootloaderの再ロックができるか知らんけど)まだ戻れます。

覚悟を決めたのなら、順序としては以下の通りです。

  1. Galaxy Note 10+の電源をOFFにする。
  2. 音量UP/音量Downボタンを同時に押しながら(PCと繋がる)USBケーブルを挿入する。
  3. 英語・朝鮮語・中国語で警告画面が表示されるため、音量UPボタンを1回押す。
  4. (Windowsの場合のみ)Zadingを利用してOEM USB Driverを適用する。
  5. heimdall print-pitと入力して応答があることを確認する。(Linuxの場合はrootユーザーで実行またはsudoを付ける)*4
  6. heimdall flash --RECOVERY recovery.img --no-rebootと入力してリカバリ領域書き換えを実施する。

リカバリモード切り替え

Galaxy Note 10+でのリカバリモード突入は些か手順が複雑です。

  1. Galaxy Note 10+の電源をOFFにする。(上記リカバリ領域書き換え後の場合、音量Down+電源ボタン長押しで再起動)
  2. 音量UP+電源ボタンを長押ししつつUSBケーブル挿入。
  3. Lineage OSのロゴマーク付きリカバリ画面が表示されることを確認する。

なかなかリカバリモード突入できずに頭を抱えましたが、やり方が分かってしまえば簡単です。ポイントは、USBケーブルは必要になったタイミングで挿入する。USBケーブルを接続しっぱなしだと上手く行かなかったので、Galaxy Note 10+の場合は必ず毎回タイミングを見てケーブルを挿す、これさえ覚えていればあとはコッチのモンです。

なお、Lineage OSロゴマーク付きのリカバリ画面が表示されない場合(大きくfastbootと書かれた画面が表示された場合)、前項のリカバリ領域書き換えに失敗しています。
Lineage OSロゴマークリカバリ画面が表示されない場合は、もう1回リカバリ領域書き換えを実施してみてください。(私の場合sudo付け忘れて一見上手くいったように見えて失敗してました・・・)

Lineage OS導入

ここまで来たら、あとは(カスタムROMを焼いた経験のある方からすると)お馴染みの操作です。
端的に表すとデータ消去・Lineage OS書き込み・リカバリモードを再起動してMindTheGapps書き込みの3点セットです。

  1. (リカバリモードで)Factory Reset→Format data/factory resetで現在のデータを削除する。
  2. (リカバリモードのトップに戻り)Apply Update→Apply from ADBを選択する。
  3. PC側からadb -d sideload lineage-20.0-YYYYMMDD-nightly-d2s-signed.zipと入力して、Lineage OSの書き込み処理を始める。
  4. PC側では47%くらいで停止するが、エラーが出ないことを確認する。
  5. (リカバリモードのトップに戻り)Advanced→Reboot to recoveryを選択して、リカバリモードを一度再起動する。
  6. (再起動後)Apply Update→Apply from ADBを選択する。
  7. PC側からadb -d sideload MindTheGapps-13.0.0-arm64-YYYYMMDD_hhmmss.zipと入力して、MindTheGapps(Google Playなどのコンポーネント)書き込み処理を始める。
  8. スマホ側で証明書エラーが表示されるがContinueをタップする。
  9. 書き込みが終わったら(リカバリモードのトップに戻り)

Reboot system nowをタップする。

再起動後、Lineage OSのロゴマークが表示され、セットアップ画面が表示されれば書き換え完了です。

Lineage OSに書き換えたGalaxy Note 10+は良い

標準ROMのGalaxy Note 10+はそれほど触れていませんが、正直なところ使いやすいUIとは思えませんでした。OEMロック解除のチェックを入れる程度しか触れていないので上辺だけで語っている部分はあるものの、Pixelシリーズとは大きく異なる改変がUI周りで加えられているため、他のAndroidスマートフォン(特にGoogle純正のPixel)を利用してきた身としては地獄そのものです。*5

それがLineage OSに書き換えたことで比較的Pixelシリーズに搭載されているランチャーに近い挙動となったため、個人的にはソフトウェア的な延命以外での大きな利点も得られたので、ROM書き換えと言うのは大正解でした。
旧型ではあるものの大画面・薄型なので扱いは容易、大っぴらに持ち出せるならば持ち出して利用したいと思うレベルです。

機能面については液晶内の指紋認証は利用可能・Sペンも利用可能、Lineage OS標準付属のカメラアプリで3眼カメラ+フロントカメラOK、microSDスロットも機能したので一通り動いてくれそうな雰囲気です。
気になる部分としては夜間・暗部での撮影時にノイズが酷いこと、これは年式的に元々暗部のノイズが酷い機種なのか・Lineage OS書き換えに伴いノイズリダクションが機能していないのか判断できていませんが、持ち出して利用するような機種ではないので気にしないこととします。

個人的には随分と久し振りなmicroSDスロット搭載のAndroidスマートフォンなので、先日衝動買いしたUSB-DACと組み合わせてハイレゾ対応な音楽プレイヤー*6にしたり、当初の予定通りiPad mini 6充電中に利用する端末としたり使っていこうと思います。
・・・まぁ、当分の間はiPad mini 5がまだ手元にある想定なので、iPad mini 6充電中の代替機としては当面使わないでしょうが・・・。

*1:確か過去にROM書き換え用に利用していたEssential PhoneはFactory Imageを公開していましたが、Moto G7 Plusの場合はユーティリティから初期化と言う形でしか手に入らなかった気がします・・・が、いずれにせよデータそのまま公開は結構レアなパターンです。

*2:そんなことを言い出したら、ROM書き換えが行えるadb/fastbootが含まれるSDK Platform-Toolsだって十分出所怪しいツールだろ!・・・とお叱りを受けそうですが、SDK Platform-ToolsはAndroid開発の純正ツールなので・・・。

*3:簡単操作でunlockできてしまうと、(開発者向けオプションを有効化する前提が必要ですが)意図せずunlockして問題が出てしまうかも知れませんが、簡単にunlockできると助かります。

*4:sudoを付け忘れ、権限不足で上手くいかず「あんるぇ?」となること数回・・・。

*5:色眼鏡偏見ヒデェなwwwくらいに思われそうですが、過去に触れたMotorola Edge 20の標準ROM/過去好き好んで使ってたXperiaの標準ROMなどでは感じたことない強烈な違和感に襲われました。

*6:なお利用するイヤホンがSHURE SE535LTDなのでハイレゾ非対応の模様・・・。