Re:シルの日々の戯言。

散財が生き甲斐になりかけている、デジタルガジェット大好き自称黄色いネズミの戯言。

NUC10i7FNHにProxmox VEを導入した

VMwareBroadcomに買収された影響による諸問題(個人ユーザー観点だと無償版ESXi(vSphere Hypervisorライセンス)提供終了)からポストESXiの位置付けとして持て囃されているProxmox VEへの導入・乗り換えを考えておりましたが、どうもProxmox VEと理解し合えずに悲しい状況が続いておりました。
sylve.hatenablog.jp
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最終的に当初Proxmox VE導入を考えていたNUC9i7QNX(PCIe x16が利用できるミニPC)への導入は諦め、更に本体構造上の問題からPCIe x16スロットに挿したQuadro P600のGPUパススルーではなく、CPU内蔵グラフィックであるIntel UHD 630のGPUパススルーを設定したVMware ESXi 8.0 U2(公開終了前に取得済みのvSphere Hypervisorライセンス)を導入して決着を付けたつもり・・・でした。
・・・が、結果的にVMware ESXi環境が2つ・・・。・・・NUC10i7FNH(ESXi 8.0 U1)で運用している仮想マシンをNUC9i7QNXに移行して、NUC10i7FNHのOSをProxmox VEに入れ替えればいいんじゃね?

どうやら、改めてProxmox VEと理解し合えるチャンスが巡ってきたようです。

ESXi to ESXiでの仮想マシン移行

NUC10i7FNHにProxmox VEを入れる前に、現在動いているESXi上の仮想マシンを新規構築したNUC9i7QNXのESXiに移行する必要があります。
ESXi同士なので、WebUI(vSphere HypervisorライセンスだとESXi Host Client)から移行対象仮想マシンをシャットダウン後、エクスポートするだけではありますが・・・エクスポートに失敗することが稀によくあります。
個人的にはストレージ容量を大きめに設定した仮想マシンのエクスポートに失敗する印象が多く、V2VでProxmox VEに移行しようとする場合でも対応に苦慮*1するところです。

WebUI経由でエクスポート出来ないとなると、(ESXiにSSH接続できるよう設定した上で)SCPなどでvmdkファイルを直接出力する方法しか無いように思えますが、実はコマンドラインでエクスポート(とインポート)が行えるツールが公式で存在しています。
developer.broadcom.com

OVFtoolと呼ばれるツールを利用することで、コマンドラインから直接ESXiに接続してエクスポート・インポートが行えます。
詳しい使い方についてはネットの大海に数多くのナレッジが存在するため、ネットの大海をご参照ください。
ss-engineer.com

OVFtoolを利用すると例え仮想ディスクに100GB~200GB割り当てたとしても、時間は要しますが問題なくエクスポート・インポートすることが可能です。
私の場合はローカル環境にバックアップとして保持したい意図から一度エクスポート・後に新環境でインポートを行ないましたが、上記のナレッジを見る限りESXi同士で直接エクスポート・インポート(V2V)を行うことが可能です。

OVFtoolは既にBroadcomサイト上からしか入手できず、VMwareからのアカウント移行がまだの方はアカウント移行処理を行う必要がありますが、一応無償配布されているツールなのでまだESXiを利用されている方は早めにアカウント移行処理とダウンロードを行っておくことをオススメします。・・・えぇ、後出しで色々と言い出すBroadcomなので、早め早めに行動しないと入手できなくなるかも知れませんので・・・。

NUC10i7FNHにProxmox VEインストール

NUC10i7FNHに入れたESXiで動いていた仮想マシンをすべて(NUC9i7QNXのESXiに)移行し、遂にNUC10i7FNHにProxmox VEを入れる時が来ました。

・・・とは言うものの悩む部分は何もありません。Proxmox VE公式サイトからイメージファイルをダウンロードし、USBメモリに書き込んでNUC10i7FNHに挿し込むだけです。
www.proxmox.com

NUC10i7FNHは極めて普通のミニPCで、NUC9i7QNXのようにPCIe x16が挿せたりするHENTAI要素も無い、素直な(!?)ベアボーンPCです。
強いて言えば元々ESXi 8.0をサポート終了まで使い込む想定だったのでメモリがミニPCとしては過剰な64GBほど搭載されてたり、何故かエンタープライズ用途で使われる高耐久の約2TB SSD*2が入ってたりするくらいでしょうか?

そのため、特記すべき部分もなくインストーラーに従ってインストールしただけです。

余計なことをしなければProxmox VEは悪くない

過去にProxmox VEと理解し合えずに辛辣な記事を書いたりしましたが、お作法に慣れてしまえばProxmox VEは悪くないものです。

正直いまでもNFSマウントするとProxmox VEのためだけに謎ディレクトリを切られる部分は気に入りませんし、非サブスクリプションユーザーに対して執拗なまでにメッセージを出力する点についても(ワンクリックするだけですが)煩わしい限りで気に食わない挙動です。
しかし、GPUパススルーのようなイレギュラーなことをしなければ割と素直に動いてくれますし、仮想コンソール(仮想モニター出力)のレスポンスも(Linuxインストール時に僅かばかりGUI画面を触れた限りは)ESXiよりは良好な気がします。

強いて言えば、仮想マシン作成時にメモリ容量を単位変更不可のMB単位(厳密にはMiB/メビバイト)*3で指定する点が今の時代としては(単位固定ではなくMB/GBと選択させろよ・・・と)イケてない気がしますが、ポストESXiとして使う分には重箱の隅をつつく程度の些末な問題です。

Proxmox VE環境が整ったので、早々にいくつか仮想マシンを立ち上げて運用していますが、今のところは安定して動作しています。将来的に物理マシンのESXiサーバーを廃止*4することを視野に、Proxmox VE上にVMware ESXiをインストールしてみましたが、ESXiでNested環境を構築するときのような面倒なことを行わずとも環境構築・入れ子仮想マシンを動かすことが出来ました。

Proxmox VEで動かす仮想マシンはESXiからのV2Vではなく、新規に環境を立ち上げて少しずつ移行していく予定ですが、一先ずは私もなんとか(自分自身が納得行く上で安定した)Proxmox VE環境を整えることができました。
今後、仕事の合間や時間を見て少しずつProxmox VEに新規で構築する仮想マシン環境に移し、本格的に活用していく予定です。・・・それまでにはもう少しProxmox VEと仲良くなれれば嬉しいところですが、Proxmox VE自体に様々な機能が搭載されているので、ゆくゆくはそちらにも手を出して自宅サーバー・自宅ITラボ環境をより便利に使っていきたい所存です。

・・・と言うか、場所を抑える目的でミニPCを(物理的な)自宅サーバーにしているのに、また(物理的な)自宅サーバーが増えてきている感があるので*5整理しないとなぁ・・・。

*1:Proxmox VE 8.2でESXiから直接インポートする機能が搭載されていますが、こちらも(裏でSCP辺りで仮想ディスクのvmdkファイルを引っ張ってることと思いますが)ストレージ容量を大きめに設定した仮想マシンは処理に失敗して移行できませんでした・・・。

*2:運良く安価に手に入ったMicron 5300 Proの1.92TBモデルで、TBWが5,250TBとされています。TBWが耐久性のすべてではありませんが、直近入手した8TB SSD(SAMSUNG SSD 870 QVO)が2,880TBWなので、Micron 5300 Proは通常より高耐久のモデルと呼んでも差し支えないかと・・・。

*3:雑にゴニョってるとMB/MiBを同一視しがちですが(私だけ?)、厳密には微妙に端数となる値が異なります。ただ、極めて厳密な容量管理しない限りはMiB(メビバイト)=MB(メガバイト)の認識で良さそうです。

*4:NUC9i7QNXをProxmox VE環境として長く使う予定で10GbE環境まで整えましたが、PCIe x16に挿したグラボのパススルーが構成都合で行えないため、いつまでProxmox VE移行に伴う(暫定ではありませんが)暫定ESXi環境として使うか決め兼ねてます。

*5:経緯はあれど結局NUC9i7QNXが純増ですし、サーバー用途ではありませんがNUC8i5BEKを意味不明な用途(メインPCをレジストリ的な意味合いで汚染させたくないが為に、雑なアプリ入れたり消したりAndroidカスタムROM焼いたりする環境)で使ってますし・・・。