秋葉原を徘徊しているとたまにシンクライアントを見かけることがありますが、多くの場合はVIAのプロセッサ*1を搭載したモデルで、かなり苦労しないと遊ぶには厳しいものが多いです。
特に我々のようなギーク*2の中でも、特に頭の良い方で無いと(CPUパワー的な意味合いで)使いこなすのが難しいものが多いので、あまり積極的に手を出せずにいました。
しかし、最近気づいたのですがアキバパレットタウンでHP t820 Flexible Thin Clientが何台か転がっていることに気付きました。
support.hp.com
このシンクライアント、よくよく見てみるとCPUはPentium G3220を搭載しています。Pentium G3220はHaswell世代のデスクトップ向けCPUです。
ark.intel.com
デスクトップ向けCPUということは、換装してCore i7とか搭載できちゃうんじゃね?・・・と言うことで少し机上で調べてみることにします。・・・えぇ、この草稿を綴っているのは2021年5月末で、月次浪費予算は既に枯渇どころか赤字となりお金が無いので購入せずに机上で調べてみます・・・。*3
sylve.hatenablog.jp
PCベースでかなり遊べそう
HP t820 Flexible Thin Client(長ったらしいので以下HP t820)は、本来あるべき姿としてはシンクライアント用OSのWindows Embedded 8 Standard(Windows 8ベース)またはWindows Embedded Standard 7(Windows 7ベース)のいずれかが導入された名実ともにシンクライアントと言うやつです。
上記で貼った国内向けの各種ドキュメントを見る限りメモリしか交換できなさそうに見えますが、海外向けドキュメントも合わせて見るとかなり面白いことになってまして・・・。
support.hp.com
- メーカーでCore i5 4570Sの設定がある=CPUを換装出来る可能性が非常に高い。
- 少なくともCore i5 4570Sは搭載可能。
- メモリはメーカー公表値として16GBまで増設可能。
- ストレージは16GB(または32GB)のオンボード領域のように見えますが、実は単なるmSATAで換装できそう。
- よくよく見るとオプションでRadeon HD 7650Aと書かれてる上、MXMと書かれてる。
普通のHaswellベースのPCで単にmSATAのストレージが小さいだけと言う面白おかしいモデルどころか、MXM規格のグラフィックボードに対応しているので思った以上にあれこれとカスタマイズすることができそうです。
カスタマイズ構成を妄想してみる
さてさて一番楽しい時間で、このシンクライアントをどうやってファットクライアント*5にしてやろうか。
CPUはCore i5 4570Sの設定があるので、少なくとも4570Sに換装は出来そうです・・・が、換装するなら同じTDP65WのCore i7 4770Sにするとスレッド数マシマシになるので面白そうです。また、動作するかは知りませんが入手可能ならばHaswell世代のXeon E3で45Wモデルを搭載すると魔改造感が出て面白いのかも知れません。*6
ただ、往々にしてCore i7は(いくらHaswell世代だから入手経路が中古限定と言えど)良いお値段が付けられがちなので、現実的にはメーカー設定もあるCore i5 4570Sが無難なのかも知れません。費用面で現実的に面白おかしい感を味わうのであれば、もう少し省電力に振ってCore i5 4570Tなどの35Wモデルを搭載してみるのも面白いのかも知れません。
メモリに関しては問答無用で16GB搭載でしょう。DDR3 SO-DIMM 1600で1.35/1.5V両対応なので、少々割高感はありますが今でも8GBモジュールは売ってるので少しお金を積めば16GB搭載は余裕です。
mSATA自体は(都内在住の身なのでアクセスが容易な)秋葉原でまだそこそこ流通しているので、128GB辺りの容量に抑えればそこまで大きな出費にはならないでしょう。また、ドキュメントに書かれているSATAが利用可能ならば2.5インチSSDが搭載可能となるのでmSATAを利用するよりも安価に大容量なSSDを搭載できるでしょう。*7
ここまでは良いのですが問題はMXM接続のグラフィックボード(GPU)です。
MXM接続のグラフィックボードなんて流石に秋葉原のジャンク屋界隈でも極めて稀にしか見かけません。以前見かけたときは確かGeForce GTX1050(MXM)だった気がしますが、2万円くらいとなかなかの金額が提示されていたように思えます。*8
Amazon.co.jpを漁るといくつかありますが、当然ながらPRIME対応とかのマークは見受けられず、素直に自分でeBay辺りから個人輸入したほうがまだマシかも知れません。
そのため、MXM以外にはとりあえず手を加えられそうな雰囲気です。
どんぶり勘定で費用を見積もる
楽しい時間は終わりです。目標達成のためにどのくらいの費用が必要か考えるお時間です。
- HP t820:確か税込み8,800円
- CPU:じゃんぱらでCore i5 4670Sが5,980円くらい*9
- メモリ:秋葉原最終処分場*10でDDR3 SO-DIMMの8GBモジュールが2枚で5,980円くらい
- SSD:東映さんトコで128GB mSATAが2,580円くらい?*11
適当計算で23,340円、2.5型SSDを選んだ場合も価格は変わらず、OS代金は含まれず。
約2.5万円出してHaswellと言う8年くらい前の(IT業界観点だと)太古の昔のPC*12と言うのは微妙ですね。しかもWindows10入れようとするとOEM版で1.5万〜2万円程度追加で必要となるので、骨董品にそこまでお金を注ぎ込む意義があるかと問われると何も言えなくなります。
・・・とは言うものの、意味のないロマンと言うものは大抵お金が掛かるものなので、致し方ない金額なのかも知れません。
一瞬の快楽のために出せるか?
正直2.5万円と言う金額は余程生活に困窮していない限りは、出そうと思えば今この瞬間にでも出せる程度の金額です。
しかし8年前の骨董品と呼んでも差し支えないような世代のPCに出せる金額かと問われると、(非オタク/ギークと言う意味合いでの)一般人からするとまず出す訳の無い金額であり、オタク/ギークな人の観点でも躊躇してしまう金額になるかと思います。えぇ、約2.5万円あるなら(若干Core数が増え始めた)第8世代のCore i7 8700辺りが中古市場で購入できる金額ですし、頑張れば2TBの大容量SSDが*13見えてくる価格です。
もっと言うならば、既に私の部屋には過剰なまでにPCが存在*14しているので、これ以上買い増したところで物理的に使いこなせないことが目に見えています。
その上で、改造前提で1台シンクライアントを購入するのが賢い選択かどうかを考えると、2.5万円と言う金額は(既に2021年浪費日記予算枯渇の状況を加味すると)正直出せない金額です。
まだ必要に応じてやむを得ず改造して使うと言うのなら100歩譲って*15買っても良いと思えますが、それにしてもHaswell世代と言うのは流石に好き好んで買うHaswellおじさん以外が積極的に買う意味はどこにも存在しません。
意味があるとしたら、中途半端な骨董品世代となったPCをベースに中途半端に安くなった部品を買い集めて好感してカスタマイズすると言う娯楽要素くらいでしょうか。買い集める時間を考慮しても、一番楽しい時間は恐らく1日程度でしょうか。えぇ、幸か不幸か私は東京23区の「どこか」に在住なので辛うじてまだ電気街を名乗れる秋葉原へのアクセスは容易ですし、多摩地区在住の身だったとしても中央快速線と言う大正義があるので(秋葉原のお隣で徒歩圏内の御茶ノ水まで1本で思った以上に足が速いので)秋葉原へのアクセスは余裕綽々でしょう。*16
しかし、1日暇を潰すためだけに中途半端な骨董品世代のPCに資金を注ぎ込むのは頭の良い行動ではありません。
ありません・・・が、何も必要な部品を一度に調達する必要はありません。最初にシンクライアントだけを調達して、実機確認を行ったうえで少しずつ部品を買い集めてカスタマイズしていくと言う楽しみ方もアリと言えばアリなので、欲望に負けた場合はとりあえずシンクライアントのHP t820だけを調達して時間を掛けて手を加えていくようにして行きたいところです。
*1:AMDと同じくx86互換プロセッサ・・・ですが、省電力にステータスを振り切るくらいの組み込み機器向けで、パフォーマンスは正直悪いです。そりゃ組み込み機器向けですし、シンクライアントとして最低限のOSや処理が動けば良いレベルのものですから・・・。
*2:異論はありますが、大雑把に言うなら頭が切れる技術的なオタクを指す言葉です。
*3:あぁ、赤字と言うのは5月の予算ではなく、前借りに前借りを重ねたとしても2021年残り予算が赤字と言う意味ですよ。
*4:調べるとMXMはNVIDIAが主体となって作り上げた規格のようです。ノートPCや小型PC向けですが、現在はただの共通規格のような扱いです。
*5:シンクライアントと言う言葉が誕生してから、対になる通常のパソコンのことを「ファットクライアント」と呼ぶことがあるとのこと。
*6:比較的小型サイズなのに無駄にXeon搭載とかチョットだけネタになりそう。
*7:海外版のドキュメント(データシート)ではSATA Solid State Driveとの記載があるので搭載するスロットはありそうなんですけど、そのままmSATAのストレージの説明が入っているので実態はどうなのか・・・。
*8:「以前見かけたときは」なので、今は無いです。
*9:ソフマップの中古売り場でCore i7 4770Sを見つけましたが、1万オーバーだったので見なかったことにします・・・。
*10:ジャンク屋もジャンク屋、ガチなジャンクもあるトコの商品使おうと考えてんじゃねーよwww
*11:東映さんトコも64GBとかの低用量モデルは欠品と出てたので、あまり予算ケチれないかも・・・。
*12:Haswellおじさんなんて言葉が叫ばれつつありますが、そうだよもうHaswellって8年前なんだよ・・・。
*13:最上級品は無理ですが、下の下くらいのグレードのM.2 NVMeなら2TBが買えなくはない金額です。
*14:業務用でさえ2台あるのに、私物となるとMacBookPro2台、NUC1台、ESXiサーバ替わりのPC1台、雑多な作業PC1台と都合5台、更に持て余した2021年浪費予算枯渇要因の一因であるLatitude 7370が転がってる始末です。
*15:そもそも論として、必要に応じて買うのならばもっと新しい世代のPCをもう少し予算を割いて新品で買えってなる訳でして・・・。
*16:地方であれば、発注した部品が到着するまでの時間もワクワクできるのでもう少し楽しむ余裕はあるでしょうが、東京秋葉原・大阪日本橋・名古屋大須と主要な電気街と呼ばれるような場所がある地域が近いと1日で部品が揃っちゃって即カスタマイズと、楽しめる時間が短くなっちゃいそうですね。